時は2002年、愛知県内の町工場で働いていた頃、会社の納品書も何もかも手書きで複写式の伝票を使っていた。パソコンなんてなく、何もかも手書きだった。受注を受けた図面をファイリングし、そこに単価を書いて、リピートが来るとファイリングした図面をペラペラめくり、過去歴を探していた。
受注は、主にFAXで届いた注文書か図面で、注文が来たら材料と図面を回し製品を製造していた。このアナログな仕事の回し方に疑問を持ち、生産管理システムの導入を検討することにした。取引先の会社にSE(プログラムを組む人)を紹介してもらい、2003年、生産管理システムを導入した。
生産管理システムを導入して分かったのは、人間の記憶のあいまいさだった。前回はいつだったか、前回との違いはないか、ちゃんと利益が出ているのかなど、データとして残すことの重要性を実感した。約20年間、毎年のように少しずつシステムの機能アップをし、現在のAPMSとほぼ同じシステムになっていった。
2022年、依頼していたSEが年齢による廃業することになり、システムが使えなくなってからバタバタするのを避けるため、新たなSEの模索をした。何社かにシステムを見てもらったところ、「このシステムはよくできている」「これは売れるよ」などと言っていただけたが、見積もりをもらったら、2000万かかるとか5000万かかると言われた。
10名にも満たない小企業にそんな資金はなく、システムの移行はとん挫した。それでも何年後かに来ると思われるシステムが使えなくなる事態を避ける必要はあり、何年かかってでも自分で開発することを決めた。パソコン教室に通い、プログラムの基礎から、コードの組み方などを教わった。ITマイスターの制度も活用し、少しずつシステムを構築していった。
パソコン教室の先生から、このシステムをサブスクにすれば、自分の会社だけではなく、多くの会社に使ってもらえることを提案され、サブスクで開発することになった。これが、APMSを開発するきっかけとなり、2年の歳月をかけ、APMSの開発を進めてきた。APMSの原形のシステムは、小企業が自社用のシステムとして開発されたものだからこそ、小企業に必要なものはほぼ網羅されており、システム会社が構築したシステムにはない発想や構造を盛り込んでいる。
毎年のように必要なものだけを必要なだけ機能アップしてきたことにより、無駄なく、効率的、かつ、柔軟に運用ができるようにしてある。2023年末、町工場を退職し、APMSの開発に専念することになった。APMSの販売するためにありがとう合同会社で販売することになり、現在の形になった。
前職で培われた生産管理システムのノウハウを小企業に活用してもらい、効果的で効率的な会社運営に役立ててほしい。システム運用の入門としてサブスク型は、初期投資の面でも、お試し運用からスタートできる面からもパッケージより優れている。